アーツ前橋

地域アートプロジェクト

結果発表!平成30年度 群馬県ゆかりのアーティストによる滞在制作事業

 アーツ前橋では、昨年度に引き続き、前橋市で滞在制作を行う、群馬県にゆかりのあるアーティストを募集しました。昨年度に引き続き、より充実した前橋での滞在制作の機会を提供するため、滞在期間を長く設定し、若いアーティストにも滞在制作の機会を与えるため、プログラムA:「群馬県にゆかりがあり、30歳以下のアーティスト」とプログラムB「年齢制限なく、群馬県にゆかりのあるアーティスト」の2つのプログラムでアーティストを公募しました。県内外、国内外から22件の応募がありました。
 
 4月19日に審査員4名による厳正な審議を行った結果、残念ながらプログラムAは「該当者なし」となりました。そのため、プログラムBから2組選出し、平成30年度招聘アーティストは、尾花賢一氏と羽山まり子氏に決定いたしました。羽山まり子氏は、2018年9月〜10月の期間、尾花賢一氏は、2019年2月~3月の期間に前橋市内で滞在制作を行います。各審査員のコメントについては、ページ下部をご覧ください。

■審査概要
応募期間:2018年2月23日(金)~3月31日(土)※当日消印有効
応募件数:22件
審査員 :岡部あおみ(美術評論家/パリ日本文化会館展示部門アーティスティックディレクター)
     白川昌生(アーティスト)
     田中龍也(群馬県立近代美術館 学芸員)
     住友文彦(アーツ前橋 館長)


審査結果

プログラムB:「年齢制限なく、群馬県にゆかりのあるアーティスト」 招聘アーティスト 1組目

羽山まり子 HAYAMA Mariko

招聘期間 2018年9月1日(土)〜10月31日(水)※予定

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■プロフィール
1983年千葉県生まれ。2010年女子美術大学大学院修士課程修了。大学院時代にわたらせ渓谷鐵道沿線で行われている「WATARASE Art Project」(栃木/群馬)に携わる。自分が関わった社会から集めたエレメントを「ラッピング」「刺繍」などの手法でつなぐインスタレーションを展開。「場と記憶をつなぐ「関係」の形象化」を試みている。主な個展に2013年「羽山まり子展-マイホーム-」LIXILギャラリー(東京)、2010年「複合回路vol4 羽山まり子展」gallery αM(東京)など。2011年「川口の新鋭作家展」最優秀作家賞受賞。https://www.marikohayama.com/

■これまでの作品

Umbilical cord
Umbilical cord》2017年、母と私のカップ・組紐 ・ 木材 ・ ナイロン布 ・ 金具、インスタレーション 撮影 Mariko Hayama

Synchronicity
《Synchronicity》2014年、美術大学から集めたもの(制作道具、モチーフ、木材)ラップ、インスタレーション 撮影 Ken Kato

 マイホーム
《マイホーム》2013年、解体された家屋の内装造形物・内装材・ラップ・木製パネルに色鉛筆、インスタレーション 撮影 Chieko Shiraishi

 

プログラムB「年齢制限なく、群馬県にゆかりのあるアーティスト」 招聘アーティスト 2組目

尾花賢一 OBANA Kenichi

招聘期間 2019年2月15日(金)~2月24日(日)、3月1日(金)~3月20日(水)、3月22日(金)~3月29日(金)※予定

プロフィール写真

■プロフィール

尾花賢一
1981年群馬県生まれ。2006年筑波大学大学院芸術研究科洋画コース修了。主な個展に、2018年「森の奥、そして -前編・後編-」hpgrp GALLERY TOKYO(東京)、2017年「森の奥、そして」 アトリオン 秋田総合生活文化館・美術館(秋田)など。主な受賞に、2015年Tokyo Midtown Award 2015  優秀賞、2014年LUMIN meets ART AWARD 準グランプリ、など。http://www.obanakenichi.com/

■これまでの作品

森の奥1

森の奥4

森の奥9
個展「森の奥、そして」展示風景、2017年、アトリオン 秋田総合生活文化館・美術館

 

■  審査員からの講評

岡部あおみ(美術評論家/パリ日本文化会館展示部門アーティスティックディレクター)

20代のアーティストにも、前橋のレジデンスを経験して頂きたいと募集を続けたが、「前橋ゆかり」の枠内なので少人数になりがちだ。また自己世界の可能性をつかみ、挑戦と実現を積み重ねる30代の作家たちに比較すると、どうしても未知数の部分が歯がゆい。
今回参加が決定した尾花賢一氏は前回も応募してくれた。仮面をつけた群像のユーモラスな不気味さに惹かれ、私はかなり推したのだが落選してしまった。本年度、彼は「辻」を巡る影を帯びた提案を携えて再度トライ、ヴィジュアルで手応え豊かな内容に共感が集まった。羽山まり子氏の透明感あふれるインスタレーションには、絆を秘めた日常からの離陸があり、包容力のある詩的な感触が新鮮だ。夢を題材とする観客参加の新作が、前橋を象徴する夢の舞台としてどう実るのか、今から楽しみである。

白川昌生(アーティスト)

今回の応募では、20代の作家に期待していましたが、30代の作家に比べてどうもまだ力が劣る感じがして、選ぶことができなかった。作品の完成度ではなく、作る意欲というか、力が感じられれば20代の若い人にぜひ、と思っていたのですが、残念。30、40代の作家が参加者として一番多かったのですが、これまで写真、立体、などのジャンルの参加者がいないので、そうした人を眺めて見て、立体作家を選びました。書、音楽、演劇、ダンスなどのジャンルからの応募者もあり、とても興味深く作品を見ることができたのがよかった。


田中龍也(群馬県立近代美術館 学芸員)

若い世代の応募を奨励するために設けられた30歳以下の枠には、前回を上回る数の応募がありましたが、それ以上に今回は30歳以上の応募者が質量共に充実していて、経験値の差があるのは当然なので審査ではそれを充分考慮に入れた上で、それでも30代の二人を選出する結果になりました。明確なコンセプトに裏付けられた充実した制作活動と、地域の特徴に関連づけた説得力のある滞在制作でのプランがポイントだったと思います。「30歳以下」と「年齢制限なし」、二つのプログラムを設けた趣旨からするとこの結果は残念ですが、今後に向けて、20代の皆さんには、自分の活動をより客観的に説明し、やりたいことをより具体的に伝えるプレゼン力を磨いて、ぜひまた応募していただきたいと思います。



住友文彦(アーツ前橋 館長)

今年度の滞在制作事業のうち群馬ゆかり作家の選考はハイレベルで大変難しいものでした。 残念ながらまったく関連性が認められない応募者もいましたが、いろいろな結びつきの解釈をしていただき、意欲的にご応募いただいた結果かと想像しています。これまでと同じく、自分が知らない作家を数多く知ることができるのでとてもありがたいです。結果に限らず、今後の活動に注目したいと思っています。
結果的に選ばれた尾花賢一さんは前回に続いて応募いただき、作品や活動を理解することができましたし、提案内容もユニークで審査員の関心を集めたと思います。羽山まり子さんも、これまで制作してきた作品と今回の提案の組み合わせが魅力あるものでした。どちらも30代半ばで、次のステップとなる滞在になることを大いに期待したいです。若手とも言われなくなるこの時期が一番大変だと思うので、ぜひこの事業を今後の糧にしてほしいです。

 

 

 

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