アーツ前橋

地域アートプロジェクト

結果発表!令和2年度 スタジオ・サポート・プログラム

現在新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、多くの表現者の方々が発表や活動の場を持つことが困難となっています。その状況をうけて、本年度アーツ前橋では滞在制作(AIR)事業に代わり、群馬県在住のアーティストに制作の場を支援する「スタジオサポートプログラム」を実施します。指定期間の中でスタジオを使用するアーティストを募集しました。

8月26日に審査員3名による厳密な審査を行った結果、榎本浩子氏と村田峰紀氏が選出されました。榎本氏は2020年10月1日~11月30日の期間、村田氏は2021年1月5日~2月28日の期間に、竪町スタジオを利用し、制作活動を行います。また当初は予定しておりませんでしたが、審査員による話し合いにより、劇団灰ホトラを特別選考として2スペースあるうちひとつのスタジオスペースを利用し、活動いただくこととなりました(活動費の支給はありません。)。
各選出者プロフィール、各審査員のコメントについてはページ下部をご覧ください。

■審査概要
応募期間:2020年7月10日(金)~8月17日(月)
審査員 :竹村京(アーティスト)
     木暮伸也(写真家)
     住友文彦(アーツ前橋 館長/東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科准教授)


審査結果

プログラムA:スタジオ利用期間 2020年10月1日~11月30日(予定)
榎本浩子 ENOMOTO Hiroko

■プロフィール
1986年群馬県生まれ、在住。女子美術大学大学院美術研究科修了。日常のなかで見過ごされてしまいがちな、あるいは誰かに言うほどのことでもないような出来事、そのなかで生まれた傷を修復するための作品を制作している。個展「話したくないこと 英語の勉強 布団を干す」小金井アートスポットシャトー2F(2013年)、主な展覧会に「日常のフィクション 日英アーティスト達が紡ぐ6つの物語」アキバタマビ21(2016年)「群馬の美術 2017 」群馬県立近代美術館(2017年)、「ソウウレシ」旧本間酒造(2019年)など。「群馬青年ビエンナーレ2015」大賞受賞。

■これまでの作品


《受けとめきれない》2019 年  映像、ドクダミ、ミント、レモンバーベナ、マツリカ、シソ、レモンバーム、レモングラス、コリアンダー、ラベンダー、カモミール、コブミカン、セージ、ローズマリー、エタノール、ウォッカ、ガラス瓶 撮影:木暮伸也


《Hives 2018.6.7〜2019.3.15》2019 年  レリーフ11点 板、蜜蝋、ワックス 撮影:木暮伸也


《話したくないこと 英語の勉強 布団を干す》2013年 – 2015年  映像、ミクストメディア 撮影:高島圭史


プログラムB:スタジオ利用期間 2021年1月5日~2月28日(予定)
村田峰紀 MURATA Mineki
撮影:植松琢磨

■プロフィール
1979年群馬県生まれ前橋市在住。2005年多摩美術大学美術学部彫刻学科卒業。原初的な行為で “かく” ことの語源にある4つの要素を、意識=書く、結果=描く、行為=掻く、潜在=欠く、と捉えてドローイング制作やパフォーマンスをおこなっている。2016年よりOngoing Collective在籍、2017年より身体の人たちに在籍し活動中。主な展示とパフォーマンスに、2019年「LIVE Biennale」open space(バンクーバー、カナダ)、2018年「vision inside」rin art association(群馬)、2016年「Think Tank Lab Triennale, TWO STICKS」ヴロツワフ建築美術館(ポーランド)、「『人間』首くくり栲象×村田峰紀×山川冬樹」前橋市芸術文化れんが蔵(群馬)、2013年「カゼイロノハナ」アーツ前橋(群馬)、2010年「あいちトリエンナーレ 2010 都市の祝祭」長者町会場(愛知)など。

■これまでの作品


《c-drawing#06》2020  H46×W36cm ベニヤ板、アクリル絵の具、ボールペン、水性染料、ジェッソ



《rotation》2018 サイズ可変 ベニヤ板、ボールペン、ろくろ  @土祭2018 土と益子 ―この土地で共に生きる- 撮影:植松琢磨

 


《Draw》2013 辞書、ボールペン、金具、木材、ベルト @アーツ前橋 撮影:木暮伸也 



特別選考:スタジオ利用期間 2020年10月1日~11月30日(予定)
灰ホトラ Gray HOTORA

■プロフィール
1998年結成。主宰の荒木聡志が全作品の、作、演出、作曲、広報デザイン、映像制作を行う。役者、新井和枝が在籍。各公演毎に参加者を募って活動している。2004年以降一時活動休止していたが、アーツ前橋「カゼイロノハナ(2013)」関連イベントの演劇作品に作曲として参加以降活動を再開、その後は前橋市街地のアートスペースなどを中心に積極的に公演を行なっている。「プロジェクトブレイクスルリ(2014)」「プロペラブランコ(2017)」では、レパートリー化した短編作品を各所でフレキシブルに展開。「ひねくれもす(2019)」は、稽古場を撮影した素材を元に映像作品として発表するなど、様々な活動を行なっている。2020年「せんがわ劇場演劇コンクール」ファイナリストに選出されたが新型コロナウイルス感染症の為本選延期となっている。

■これまでの作品

《発熱するかめ》2016年4月16日上演 会場:Maebashi Works 上演作品 はれのひのつかいみち/発熱するかめ/発熱する家 



《ひねくれもす》2019年5月11日~ 会場:Maebashi Works 上演作品 ひねくれもす


《HORNS!》2020年2月23日、23日 会場:comm(群馬県前橋市)
上演作品「うたとおどり/ちけったれ」「パラレルモノローグ/だからかもだし(再演)」「一人芝居/フーの鼻(再演)」「一人芝居/ 月が痛い」「一人芝居/楽園の男」「3人芝居/狐時計」「コント/みつめまみ」「二人芝居/炊事洗濯魔法陣(再演)」 



■審査員からの講評

竹村京(アーティスト)

今回は群馬在住でなおかつ通える方が対象でしたので、スタジオをどのように使えるかが論点だったわけですが、県内の幅広い地域から応募があったのは興味深かったです。今後、海外に行くことが限定される状況が想定される中で、自分が住んでいる少し先の場所で滞在制作し、新たな関係を見出すことの重要性は高まるのではないでしょうか?このコロナ禍で、展覧会が無くなったり延期したり、様々な苦境と現実に立たされていることがわかる制作内容のアーティストが多かったため、選出するのに時間がかかりましたが、最終的にはこの環境を与えた時に地域との関連も含めて最大限に活用でき、なおかつその後の竪町スタジオの方向性を示唆できる方を選べたように思います。

木暮伸也(写真家)

コロナ禍での限定的な募集の中にもかかわらず、多くの応募があったことは同時にアーティストの困難な状況の中での切実な思いと受け、丁寧に対応させていただきつつ、選考中に関係者とも様々な意見を交わせたことは貴重な経験になりました。スタジオサポートプログラムは試験的な活用の例はあるというが、公募をした上でのプログラムは今回が初めてなので、今後、この企画がどのような方向に進んで行き、できれば継続していってもらいたいという期待の中で、現状況下においての必然そして可能性を多く含んでいるであろう2名を最終的に選考させていただきました。私自身、竪町スタジオを含むエリアを一つの拠点として活動している者でもあるので、スタジオ利用中に伺うこともあると思います。そこで直接的に交流がもてることを楽しみにしています。
もちろん適度なディスタンスをたもちつつですが、、、!

 

住友文彦(アーツ前橋 館長/東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科准教授)

応募申請の一つひとつを読んでいると、心まで萎縮しないで積極的に表現活動を続けようとする意欲を感じられ、こちらが励みをもらった気がしました。全員が個別の事情を抱えているため、審査は予想を大幅に超えて長時間になり、結果的に選ばれた二名は、制作場所を確保する切実性と、表現者たちが置かれた現在の状況への反応という点が評価されました。困難な状況に直面したからこそ、一番大事なことは何かを見つめ直しているのは応募者の皆さんも私たち美術館の職員も同じだと感じ、そこから学ぶものはとても多かったです。制作活動を続けるのは大変ですが、誰かの表現に触れることを今だから必要としている人たちもきっと少ないないはずなので皆さんの今後の活動に期待しています。

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