【中島佑太×南橘団地】2017・10・2〜6 アーティスト・イン・スクール1週目


本年度は、南橘団地の子どもたちも通う桃川小学校で、アーティスト・イン・スクール(以下AIS)を行うことになった。(AISはアーティストが小学校に滞在し、制作やワークショップを通じて子どもたちや先生たちと交流をするプログラム)。AISはもう2週目に入っているところで、南橘団地の子どもたちや、ワークショップに来てくれたことのある子どもたちに学校で会うという不思議な時間を過ごしている。団地という場所は、住んでいる人はもちろん、近隣の地域に住む人々も行き交う場所であり(僕は5歳まで南橘団地に住んでいて、その後近隣住民として団地で遊んでいたその1人だ)、地域を見守る学校の先生たちとのコミュニケーションは南橘団地と関わる上で重要なものだと考えることができる。

そこで、今回は4週間に渡って学校に通い、3年生と5年生の図工の課題をサポートすることにした。児童たちは11月後半の前橋市図工美術作品展に向けて、絵画作品を制作中である。今回はこちらで企画したワークショップを行うことをせず、子どもたちの絵画作品の指導のサポートに当たることは、今までの僕の活動で言えばある意味ポリシーに反しているかもしれない。しかし、得意技を封印されているようにも見えるかもしれないが、1週間経って振り返ってみると意外とそうでもないとかもしれないと思えてくる。もともと南橘団地のワークショップに来たことがある子どもたちは、ワークショップでの振る舞いを認識しているし、図工課題の指導と言っても僕はあくまで”図画工作”の専門家ではないし(美術学部を卒業したので、美術学士を持っているが、教員免許は持っていない)、ストレートに課題を解釈するタイプではない。むしろその内情を知らない外部の人間だからこそ、図工の課題に潜む当たり前を揺さぶることができるのかもしれないと身勝手ながら感じている。どちらかと言えば学校の図工・美術に批判的な立場を明言しているけれども、考え方が違うからこそ新しい協同が生まれるかもしれない。

あと単純に、楽しい。僕は子どもたちに関わることができるこの仕事が気に入っている。そんな訳で日報という訳ではないけれども、毎日レポートを書くことにした。読者がいるのかどうかは分からないけれど、読むのが大変だろうから短めにしてある。学校という性質上、デリケートなことは書くことはできるけど、公開は難しいだろうと思い、そういう意味でも文章は短い。


20171002 AIS初日

日時   2017102[] 11:40~12:20

場所   桃川小学校図工室
参加者=春原先生、今井朋、中島

アーティスト・イン・スクールの初日!今井さんをアーツで拾ってから桃川小に向かう。少し早めに到着すると、春原先生がすでに待っていた。校長先生に挨拶をして、樺澤先生と図工室へ向かう。この日のクラスは近隣のスーパーマーケットの見学があり、クラスの半分がまだ戻ってきていなかった。全員揃って、改めて紹介してもらった。樺澤先生から「本物のアーティストです!」と紹介を受けたが、偽物のアーティストっているんだろうか?

初日は4時間目だけで、様子を見ている間に終わってしまった。小学校の1コマはとても短く感じた。図工作品展に向けた3年生のテーマは「虫をとったよ」。理科の授業で学習した昆虫がテーマになっていて、虫と自分の世界観というよりも図鑑を観察して、学習したことをおさらいしているような印象だった。図工が他の科目と連動しているのは、とてもいいことだと思ったが、昆虫が苦手だったり関心がない子どもでも取り組める余白がもっとあるといい。

 


20171003 AIS2日目

日時   2017103[] 8:50~12:20

場所   桃川小学校図工室
参加者  中島

アーティスト・イン・スクールの2日目!今日は初めて1人で小学校に向かう緊張に加えて、8:50から授業が始まる。とても遅刻が不安だったけど、なんとか余裕を持って到着することができた。2日目は2コマ続きの授業×2で、今度は5年生の授業。図工作品展に向けたテーマは「銀河鉄道の夜」。言わずも知れた宮沢賢治の代表作である。今日までの授業で、原作の配布(読むか読まないかは任意)とアニメ版のDVD鑑賞、エスキースが終えていて、今日から本番用のマーメイド紙に取り掛かる。授業の最初、下絵を描く上でのアドバイスを求められ、3年生の制作の様子を見ていて気がついたことから、消しゴムで消す前に線を描くことなどを伝えた。

小学生の絵って右上に赤い色で太陽を描くというイメージだったけど、銀河鉄道がテーマになると太陽が登場しなくなって、その代わり(なのかは分からないけど)月と地球が描かれていた。きっと最終的に黒が多い画面を子どもたちはイメージしているかも知れない。けれど真っ暗な宇宙にこそ太陽はある。真っ暗な銀河と、太陽。子どもたちが描いたらどんなふうになるんだろう。

3年生の授業でも使われていて気になったのは、インターネットで拾ってきた画像が多数用意されていることだった。僕が子どもの頃、と言ってももう20年も前のことなので比較対象としては古すぎて、化石とグローブを比べているようなもので比べ物にならないが、要は時代は変わったのだ。僕は図画工作の授業で配られるキットも、お手本通りではなく自分のつくりたいものをつくり続けてきた口で、まあそれでも時折先生からの不本意な指示に従ったこともあったけど、基本はお手本を見なかった記憶がある。SLの写真を見て映しとりながら、銀河鉄道をテーマに銀河を想像することの二次創作さが、現代的だと感じる。オリジナル、と言っても、常日頃から見てきたものとの関係性を絶つことは難しいわけで、そういう意味では全ての創作が二次創作的なのだ。(銀河鉄道の夜が題材になっている時点でもそうだ。)

さて、本心で言えば、参考資料を写すだけではなく、自分の好きなように自由な線を描いて欲しいと思う。でも他人の評価も気になるものだし、ましてや作品展に向けた制作なわけで、他人の評価を気にせざるを得ない。だからこそ、他者からの視線を気にせず、自分の想像の絵と対話し、結果それが社会と他者とつながっていく、そういうものが評価される社会が望ましい。


20171004 AIS3日目

日時   2017104[] 10:30~12:05

場所   桃川小学校図工室
参加者  中島、春原先生

アーティスト・イン・スクールの3日目!今日は4時間目の3年生の授業だけの予定だったけど、ひとつ前の6年生の授業にも飛び入り参加してみた。6年生はランドセルを描いていた。下書きから色ぬりに移行する日で、下書きが終わると先生に許可を取り、色ぬりをし始めるというのがとても懐かしい。まっすぐな線の引き方や、デッサンをする上でのものの見方、遠近感のことなど、技術的な話をいくつかした。6年生だからって技術的な話をするというのも迷うところだったけど、アドバイスをもとに自分の納得がいく作品が仕上がって損をすることもないかと思って。

3年生の授業は月曜日と同様で1コマだけだったので、やはり短く感じた。2コマ続きの時間に比べて、子どもたちともコミュニケーションをとるチャンスも減ってしまう。

技術的な話でいうと、多くの子に描き方を聞かれる。汽車の書き方、ファスナーの描き方、手の描き方。きっとそれぞれの愛好者(ファスナー愛好者がいるかどうかは分からないけど、きっといるだろう)の中にはそれなりの技術があって、技術力を競う風習なんかもあるかもしれない。けれど僕からしたら子どもたちには、アートには正解・不正解がなく、他の人と答えや考えが違ってもいいと感じてもらいながら、より自由に描いてほしいと思う。ただ、それだと作品展で賞が取れないのだ、多分。


20171006 AIS4日目

日時   2017106[] 9:40~10:25

場所   桃川小学校図工室
参加者  中島

アーティスト・イン・スクール(AIS)の4日目!昨日は休みだったので、1日ぶりに小学校へ。階段を上がっていると、図工室から降りてきた樺澤先生とすれ違い、予定変更で1時間早く始まっていることを聞いた。この1週間でも予定変更がいくつかあり、学校の授業って結構めまぐるしく調整が行われているんだと知る。来週も稲刈りがあるとのことで、授業の入れ替えがあるとのこと。また次回から急な変更があれば直接連絡をいただくことになった。

さらに階段を上がると、3年生の児童たちが「中島さんですか?」と声をかけてくれた。休み時間に図工室から迎えにきてくれたようだった。水曜日の6年生の時もそうだったけど、樺澤先生が僕がいない時間の授業でAISの取り組みについて話してくださっているみたいだ。あくまで先生のコメントだけど、他のクラスは来てくれなくて残念がっているとのことだった。

今週あった3年生の授業は全てのクラスで1コマだったのだけど、1週間いた中でやはり情報が広がるのか、1日目の3年生に比べて溶け込みやすい感じだった。このクラスでは虫を描き終えて、虫をとる自分の姿にうつっていた。まずは手を描くいわゆる酒井式描画指導法というやつで、聞いたことはあったが実際に実践例を見るのは初めてだ。AISの事前の打ち合わせで、先生方にはその方法への違和感はお伝えしてあった。そのため先生も酒井式に限定されない進め方を考えてくださっていて、無理して手から描かなくてもいいと子どもたちに伝えていた。

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