R3年度オンライン鑑賞会@デイサービスセンターえいめい


社会福祉法人清水の会  えいめい 木村祐子

令和3年10月15日(金)14:00~
参加者3名、ナビゲーター1名

令和3年10月になり、清水の会えいめいの廊下に鑑賞ナビゲーターさんが選んでくれた絵画パネルが一枚展示された。玄関からデイルームまでの掲示板の一角、デイサービスの利用者さんや職員が目にできる場所は、献立表やデイの職員が作った行事の案内など、ライバルが多い。

今回のオンライン鑑賞会は、昨年参加された方の中でも特に絵画に興味のある方3名をこちらで声をかけさせてもらっている。昨年の鑑賞会を覚えている方、覚えていない方、それぞれ楽しみにしてくださっていた。

当日、オンラインで会話が始まり、互いに自己紹介した後に絵画パネルを1人1枚ずつ手元にお渡しする。ナビゲーターさんから「少しの間、見てください。」と言われ、パネルをまじまじとご覧になっていた。

清水刀根《撮影》 1933年 アーツ前橋蔵

ご覧になった感想を聞かれると、初めは少し控えめだったが、少しずつ話し始める。
参加者の1人が「これは日本ですか、外国ですか。」といった質問をされる。
ナビゲーターさんは、明確な答えではなく、「どう思いますか?」と質問で返されるため、参加者の間でおしゃべりが広がる。
「日本にはこんないい所はないよ。こんなの見たことないよ。」「この木がね、日本じゃないよ。」「日本かしら〜。」など思い思いに話されるが、
「描かれている地面が、日本の公園ですよ。外国ならば、レンガで道が敷き詰められているし、描かれているベンチは日本にしかない。」などとの話もでていた。しばらくこの絵が日本か外国かといった話題で盛り上がる。
それぞれが納得し始めると「日本の公園にこんないいところがあるなんて、知らなかった。」
と絵の世界を本気で感じられていた。この素直な姿を見ると、すごいなぁと感心してしまう。

ナビゲーターさんが相槌をうち、そのうちに、話題が変わっていく。
「手前に描かれている女性は、大きいから外国人。」「カメラで写真を撮っている男性は小柄だから日本人。」こんな話題から、
「これは恋人同士。結婚したら、写真は撮らなくなるもの。だからこの2人はまだ恋人。」という話で盛り上がり、目をキラキラさせていた。どの世代でも、ちょっとした恋愛話で話が盛り上がるから、とても面白い。

また、描かれている持ち物にも着目されていた。「ベンチに置かれた帽子はかんかん帽子・・・・・・。これは男性の物、女性はこのコウモリ・・・・よ。」とお話される。かんかん帽子は頭頂部が平になっている麦わら帽子、コウモリは傘のこと。昭和50年後半に生まれた私は、知らない単語であったが参加者3人とも理解されていた。50歳以上の年齢差でここまで知らないものがあったのも、興味深く感じる。

この他にも話題はあったが、おしゃべりの時間が終盤に差し掛かり、ナビゲーターさんから作者と作品のタイトルを伝えられた。すると、驚いたことに参加者の中にこの作家に直接絵画を教わっていた方がいらっしゃった。さすが、群馬ゆかりの作品、群馬出身の方々と感じる。もちろん、作者の人柄やどのような絵を描いていたかなど、誰よりも詳しくご存知であった。

アーツ前橋、ナビゲーターさんが見せてくれた絵画については終わり、最後に、参加者がデイサービスえいめいの利用中に描かれている絵画をナビゲーターに紹介させてもらう。参加者は大喜びして終わった。

コロナによる影響で、高齢者の方の外出はごくわずかである。病院とデイサービスだけの方が多く、デイサービスでも口数が減っている方もいる。そんな中、絵画を通しておしゃべりがここまで弾む様子を見ると、とても有意義で、明るい気持ちになる。コロナの拡大で何かと断念せざるを得ない状況が続いているが、できる事からやっていきたいと感じられる鑑賞会だった。

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