アーティスト・イン・スクール (15) 2019.2.18~3.25


20190218 AIS69日目

日時   2019218[] 11:15~12:00
場所   53
参加者  中島

アーティスト・イン・スクールの69日目!

53組の図工が今年度最後だった。明日は52組が最後で、金曜日の1組の授業はなくなってしまったので、51組は前回気がつかないうちに最後を迎えていたことになる。来年の図工で関われるかどうかはわからないので、少しさびしさもあるけど、まあ仕方ない。

20190219 AIS70日目

日時   2019219[] 11:15~12:00
場所   52
参加者  中島

アーティスト・イン・スクールの70日目!

52組ラスト。版画の課題も次回の1コマが最後のようだけど、まだ彫っている子もいる。

20190222 AIS71日目

日時   2019222[] 13:50~15:30
場所   43
参加者  中島

アーティスト・イン・スクールの71日目!

5年生の図工に行ける日がもう終わってしまい、43組を残すのみとなった。今日はのどがガラガラになってしまい、声がかすれてうまく出ない。冒頭で毎回少しだけお話をするが、今日はすっかりお笑いのごとく、声を出すたびに笑いが起きた。

彫り作業が大方終わりを迎え、刷り始めるとキットに入っている3枚の和紙を一気に刷り上げる子が続出した。試しに刷ってみると、今まで言われてきたことが、ああそういうことだったのかと分かると思うから、彫りたりないところや、勘違いしているところをもう一度彫ってみようよ、と言ってみたけど、勢いよく刷りあげてしまった。

まあ時に夢中になって勢いでこなすことも大切なのかも。

6時間目が終わると、最近は一緒にレクリエーションをしてから帰る。ジェスチャーゲームや名前は忘れてしまったけどなんか後ろに書かれた言葉を質問して言い当てるゲームなどをする。今日は「火山」というお題のジェスチャーゲームの答えを言い当てた。

20190225 AIS72日目

日時   2019225[] 16:00~17:30
場所   校長室
参加者  中島、今井(アーツ前橋)

アーティスト・イン・スクールの72日目!

今日は図工の授業は変更になってしまったのでなかったが、もともと図工の授業に合わせて夕方に打ち合わせが設定されていた。校長先生、教頭先生だけでなく、今回受け入れてくださった先生方も交えての振り返り。昨年は振り返りの時間がこのように持てなかったので、直接先生方のご意見が伺える時間が持てただけでも良かった。さらには、ポジティブな意見だけではなく、ネガティブな意見もお答えいただき、とてもありがたく感じる。アーティストをはじめとして、外部の人間が学校の授業に入り込むことのデメリットは、メリットと同時に大きい。このような振り返りの場は、良かった面ばかりに目を向け、温和に終えがちだけど、全てがうまくいくわけではない。

今回特に反省点として浮かび上がったのは、アーツ前橋、群馬大学NPO、アーティストの三者での連携の問題点だろう。関係者が多くなればなるほど、コミュニケーションをとる時間は少なくなり、事業に対する考え方や方向性などにバラつきが出てしまう。特に僕らのような委託を受けて動いているアーティストは、県外からの招聘だったりするとなお、AISの理念などをすべて理解することはむずかしい。

札幌のAISのケースで言えば、滞在している空き教室にやってくるのは子どもたちだけではなかった。学校の先生、コーディネーター、アートマネジメントを学ぶ学生、主催実行委員会のメンバー、アーティスト、研究者、メディアの方々が、入れ替わり立ち替わりやってきて様子を見たり、進捗状況などを共有していった。札幌の場合、元々の設定として学校の授業が全て、誰でも随時見学可能だったので、状況は大きく違うかもしれないが、外部から人が入ってくることのストレスやデメリットは小さくないだろう。しかし、学校という場の中で、子どもたちが先生や保護者だけではない、多様な大人に出会い、豊かな関係性を築いていくことは、これからより複雑な共生を考えていかなければいけない子どもたちにとって、重要なメッセージになると考えていきたい。

AISは、学校の外と中をつなぐ、中間ゾーンであるのがよいのかもしれない。

20190301 AIS73日目

日時   2019222[] 13:50~15:30
場所   43
参加者  中島

アーティスト・イン・スクールの73日目!

43組最後の授業。版画はものすごく順調に刷り上がり、終わった子から次の箱づくりのキットが手渡される。中身はマス目の入ったダンボールで、算数の時間の図形の課題と連動しているのだけど、展開図のところまではまだいけてないらしい。図工や美術は、もっと総合的な学問として、捉えてもらえるといいと思う。算数や国語、理科、社会、音楽、家庭科、体育、生活、道徳といった科目とものすごく結びついているはずだ。このご時世で、図工の時間はどうしても減ってしまうが、もっと連動して考えていければ、図工の時間はむしろなくてもいいのかもしれない。

20190305 AIS74日目

日時   201935[] 10:10~15:00
場所   桃川小学校~アーツ前橋
参加者  中島、五十嵐純+今井朋+高山あずさ(アーツ前橋)

アーティスト・イン・スクールの74日目!

公立小学校から美術館にたどり着くまで

僕はどちらかというと学校の授業で美術館を見学することに、反対の立場だった。でもつい、版画の授業をやっている最中、アーツ前橋で版画展をやっているとなると、それはもう見にいった方がいいんじゃないかと思い立ち、提案してみた。アーツが前橋市のバスをチャーターしてくれて、140人ほどしか乗れないバスに乗るために、先生方が3クラスを2組に分け、授業を調整してくださり、奇跡的に午前便と午後便の2回に分かれて美術館ツアーを組むことができた。年度末のお忙しい時期にも関わらず、たくさんの方の協力を得ながらこうしてものごとが動いていくことも子どもたちに知ってもらいところではあるけれど、それは少し恩着せがましいかもな。

美術館ツアーを企画し始めた当初は、実は担当してくださった学校の先生だけをお誘いするイメージだった。しかし、いつの間にか43組をお誘いすることになり、やはり3クラス中1クラスだけではということになり、4年生全3クラスをお招きすることになった。ところが市のバスの定員が40人ほどだったり、アーツ前橋の開館時間が11時からだったりと、なかなか好都合と言えることばかりではなく、企画は難航。前述の通り、先生方にアイデアをお借りして、実施に至る。

版画を見る運動

バスツアーを企画はしてはみたけれど、バスの関係で1便には乗ることができず、別便で移動することになった。せっかくならバスに一緒に乗りたかったけれど、版画展を観ることが最優先だ。市のバスはアーツ前橋の目の前には停まれないので、少し離れた国道沿いで子どもたちは降りることになっていた。そこまで迎えに行き、そこから市の施設内を通り抜けて、アーツ前橋の入り口に到着したのが1055分頃だった。11時の開館前でまだシャッターが開いていなかった。せっかくここまでスムーズに来たのに、ここで足止めを食らうとは。シャッターが開き、担当学芸員から説明を受け、各自展示を見て回れるようになった頃には、残り時間が15分。いくら何でも、申し訳ないほどに短い。

その反省とは裏腹に、子どもたちの反応はとてもよかったと思う。版画をやったばかりということもあり、自分たちにはできなかった様々な表現に驚きや疑問を持ってくれていたように見えた。

印象的だったのは、「なんで色がついているのか?」という素朴な疑問。4年生は単色の版画だったので、カラフルな版画もあるということが素直に疑問だったようだ。展示のコンセプトが、版画そのものの表現というより、アジア諸国で起こった版画運動に焦点を当てたものだったので、多色版画は少なかったが、だからこそカラーが際立って見えたのかもしれない。例年通りに行けば、来年の今頃は一版多色版画をすることになる。1年間は子どもたちにはあまりにも長い時間かもしれないが、もしも楽しみにしてくれていれば、まさに版画運動展に影響を受けた新しい版画運動として広がりが見られるのかもしれない。

20190325 AIS75日目

日時   2019325[] 10:15~12:00
場所   43
参加者  中島、今井(アーツ前橋)

アーティスト・イン・スクールの75日目!

今日は今年度最後の日。昨年末も読んでもらった43組のお楽しみ会でした。各自の出し物、校庭に移動してのドッヂボール、くつとりゲーム、教室に戻ってなんでもバスケット、宝探しにバラバラゲーム、転校してしまうクラスメートへの手紙など、てんこ盛りプラン。印象的だったのは、各自の出し物がYouTubeTikTokなどのSNSに強い影響を受けていること。図工以外にもたくさんの表現があり、ワークショップはその1つだということは何度か書いてきたけど、図工やアートのような表現よりも、SNSで発信できるような映像表現の方が、今の子どもたちには馴染みのある手法になっているのだろう。

また来年度も会えるといいなあ。

結びにかえて

というわけで、今年度の桃川小学校でのAISは、とりあえず全日程を終了しました。T2での関わりが2年目になり、慣れてきてしまった部分もあれば、アーティストがT2をやるべきではないという批判も受けます。英語や道徳のように、社会の流れの中で学校の科目も増えたり変化する上に、地域や家庭の事情も大きく変化している時代における学校の先生の役割は膨大です。アーティストに限らず、地域の専門性を持った人材が、もっと子どもたちを育てる環境に関与できる仕組みがもっとあってもいいんじゃないかとも思う一方で、「アーティスト」と強調しているアーティスト・イン・スクールの醍醐味も、もっとアピールしていきたいということも理解できます。アーティストの特殊さに触れることも大事なのかもしれないけれど、アーティストが思っていたよりも普通の人で、さらには存在を知らなかっただけで実は身近にいる、その人がむしろ向こうから近くまでやってきた、っていうことは今回感じてもらえたことなんじゃないかとは思います。

改めて書くことでもありませんが、表現はアーティストだけのものではありません。今日の子どもたちはYouTubeTikTokなどのSNSを通じて、アーティストではない誰かの有象無象の表現を目の当たりにして生活しているようです。インターネットのなかった時代に、アジアのアーティストたちが版画を使って自分たちのメッセージを拡散しようとしたように、すでに子どもたちは自分たちの様々な表現を発信していますし、今回僕が関わったことで生まれた子どもたちの作品と、数十年後に出会う子どもたちが今回と同じようにいるかもしれません。僕がT2として関わったこの「現在」は、このように過去と未来とつながっています。

3年目となる2019年度のことはまだどうなるか分かりません。T2というよりもワークショップをというような話もあがっていますが、僕としては今のまま継続するのが今のところの気持ちでもあります。それがいいのかどうかも、分からない。それでも何らかの形で関わりながら、南橘という現在地から未来の社会を想像していきたいと思っています。

(執筆=中島佑太、撮影=今井朋、中島佑太、編集・投稿=中島佑太)

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