おでかけ/初展示と太田市美術館図書館


若者の初展示と太田市美術館・図書館

「今度、展示があるので、よかったら来てください。」一月前、アリスの若者から突然のお知らせをもらった。兼ねてから行きたいと思っていた太田市美術館・図書館の近くということもあり、ギャラリーツアーとしてみんなで出かけることにした。ギャラリー展示の様子は出展者の若者2人が書いてくれた。展示をすることも、ブログを書くことも初めてだろうと思う。

美術館・図書館では「ことばをながめる、ことばとあるくーー詩と歌のある風景」の展示が行われていた。展示を見ながら緩やかにスロープを上がると、自然と本に包まれるアプローチが心地よい。若者たちも思い思いに過ごしている。よい図書館だ。

帰り際、今日の一日を振り返りながら町を歩いた。

ふと、当たり前のように彼らと町を歩いていることに気づき、その当たり前のすごさに心が震えた。

初めて歩く町がどこか愛おしく、懐かしいような錯覚を覚えた。

今回は展示を行った二人に記事を書いてもらった。

(滝沢)

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昨日読んだ記事が頭から離れない。Oさんのあの記事。

今朝目が覚めた瞬間から「Outsider(アウトサイダー)」という言葉が頭の中でぐるぐる回っている。

一週間前から急に自分の抱えていた創作物を一気に人に見てもらうことが増えてから、「芸術イコールなんなのか」というような考えばかりに取り憑かれている。そんな考え、端くれの私にはまだ早いだろうに。頭から引き離すため取り敢えずメモに言葉を書き出す。

主催の方からお誘いをもらって、初めて企画展に参加することになった。元々美術が得意という訳でもなかったけれど、せっかくもらった機会に飛びついてこの展示のために一生懸命準備した。会場の高さ横幅を何度も測ったり、2.2mの海坊主のようなパネルを作ったり、時には隣のアーティストさんに助けてもらったりした。これでいろんな人に見てもらえる。どんな感想を貰えるのだろうかとワクワクしながら22:00に帰宅した。

そして今日のお昼頃アリスの人達が作品を見に来てくれた。17人くらいが来てくれて、すごく嬉しかった。初めましてのメンバーからいつも話すメンバーまでなるべく全員に話しかける。

「このクレヨンは、溶けてるの?」

「そうです、ドライヤーで溶かしたんですよ!」

  

私はアリスの中で結構喋るほうなのだが、実はこのコミュニティの中で自分が邪魔な存在なんじゃないかとよく考えることがある。ぺちゃくちゃ喋る私はうるさくないだろうか、大丈夫だろうか。他人と話をあまりしない人達は、その分自分自身と対話ができる人達だ。彼らはあらゆることのズレも気付くことができる頭の良い人達だ。……勝手な偏見かもしれないけど。尊敬している人達ばかりいるし話していて楽しいし居心地が良いからよくアリスに通うけど、そんな考えがよぎることがある。

いろんな人に褒められた。暗い考えを隠すように明るい表情を作ってみせるけどやっぱり筋肉が動かない。自分を卑下する癖を捨てて、相手の気持ちを受け取らないと。そう思って話しかけようとしても上手くできず、挙動不審のまま会場の端をうろつくようにもじもじしていた。

耐えきれずに会場の外に出た。いろんな人に創作を見てもらうことが嬉しい反面、羞恥を覚えている自分がいた。彼らは何を感じているんだろう、或いは……何も感じていないのだろうか。それとも何かを感じてくれるという自分の考え自体が傲慢なのだろうか。やっぱり作者と鑑賞者には越えられない壁があるのだろうか。私はアウトサイダーなのだろうか。あぁまた引き離した考えがひっついてきた。作品に対してどう思うかなんて人それぞれだろうに。嬉しさと恐ろしさがクレヨンみたいに混ざりあって胃の中で半分固まっていた。

もっと自分の感情と作品に向き合えるようになりたい。なにせ1年半前は1日に「おはよう」と「いただきます」しか言わない1ヶ月間を過ごしていたのだ。少しずつでいいんだ。でも今度こそは自信を持ってプレゼンできるようになりたいんだ。いつものように、目の前の壁をひとつひとつ素手で破壊していこう。(Y)(2018/09/27 13:47)

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『嘘と空』

今回、太田ポップワークスに参加させていただいた風と申します。私は写真を主とした展示をしました。写真の展示を選んだくらいなので、私は写真を撮ることが好きです。特に空の写真は特別です。さまざまな色や2度と見られない瞬間を見せてくれる空は私にとってアーティストです。空が表現しているものの一瞬を撮らせてもらえ、とても幸せだなと思います。

ここから空の写真を撮るようになったきっかけを書こうと思います。

高校生になり何ヶ月か経つにつれ、私は高校に行くことが辛くなりました。中学でいわゆる不登校だった私は「また行けない。」「やっぱり行けなくなったか。」という2つの気持ちがありました。ところで、学校を休むためにはたくさんの嘘をつく必要があります。少なからず私は休むためにたくさん嘘をつきました。親、先生、友達、近所の人・・・。小さい時から嘘をつくことは幸か不幸か得意でした。しかし、そうする度に自分は汚いなと思うようにもなりました。その時にいつも決まって見るものが空だったのです。空は私と違い嘘が1つもありません。嘘がないことに限らず、何があっても空は空自身でいるのです。当時の私とは正反対でした。

そんな空に憧れのようなものを持つようになったのが空の写真を撮るようになったきっかけです。それは同時に自分の汚さを消したいがためなのかもしれません。

今でも嘘をついてしまう、つくことがあります。自分のためにならないと思う嘘、優しい嘘のどちらも。でも今ではそれでいいような気もしています。嘘をつくと、時として自分を守ることができるからです。

そんな私は、これからも空への憧れは変わらないのでしょう。(風)

 

 

 

 

 

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