アーツ前橋

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結果発表!群馬県ゆかりのアーティストによる滞在制作事業

 アーツ前橋では、昨年度に引き続き、前橋市で滞在制作を行う、群馬県にゆかりのあるアーティストを募集しました。今年度は、より充実した前橋での滞在制作の機会を提供するため、滞在期間を長く設定、若いアーティストにも滞在制作の機会を与えるため、プログラムA:「群馬県にゆかりがあり、30歳以下のアーティスト」とプログラムB「年齢制限なく、群馬県にゆかりのあるアーティスト」の2つのプログラムでアーティストを公募しました。県内外、国内外から9件の応募がありました。
 
 5月18日に審査員4名で、厳正な審議を行った結果、プログラムAは、群馬県北群馬郡伊香保町(現・渋川市伊香保町)出身で現在は埼玉県を拠点に活動している衣真一郎氏、プログラムBは、群馬県高崎市出身のダンサー安藤暁子を含む5名で構成される、尾花藍子氏主宰のダンスカンパニーときかたちを招聘アーティストとして決定しました。衣氏は、2017年8月21日(月)〜10月1日(日)の期間、ダンスカンパニーときかたちは、2018年2月5日(月)〜3月25日(日)の期間、前橋で滞在制作を行います。

■審査概要
応募期間:2016年4月10日(月)~5月7日(日)※当日消印有効
応募件数:9件
審査員 :岡部あおみ(美術評論家/パリ日本文化会館展示部門アーティスティックディレクター)
      白川昌生(アーティスト)
      田中龍也(群馬県立近代美術館 学芸員)
      住友文彦(アーツ前橋 館長)

 

■  審査結果

プログラムA:「群馬県にゆかりがあり、30歳以下のアーティスト」 招聘アーティスト
衣真一郎 KOROMO Shinichiro

招聘期間
2017年8月29日(月)〜10月1日(日) ※予定

 koromo

1987
年群馬県渋川市伊香保町生まれ。2013年東京造形大学絵画専攻卒業。2014-15年パリ国立高等美術学校交換留学。2016年東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻修了。風景や静物、人、建物等の身近にあるものをモチーフに絵画と立体による作品を制作。近年の主な展示に、2017年「群馬青年ビエンナーレ2017」群馬県立近代美術館 (群馬)2016
個展「Townswitch point (東京)「アートアワードトーキョー丸の内2016(東京)cornerSee Saw gallerycafe (愛知)2015年「Choque Parisien」パリ国際大学都市日本館 (パリ) など。

■これまでの作品

koromo1
人々とそれぞれの見る風景2017年、油彩・キャンバス、220.0×292.0cm 撮影 
木暮伸也

koromo2
Lying Landscape2016年、油彩・キャンバス、227.3×363.3cm 撮影 加藤健

 koromo3
Lying Things2016年、水彩・木、サイズ可変、 撮影 加藤健


プログラムB「年齢制限なく、群馬県にゆかりのあるアーティスト」 招聘アーティスト
ダンスカンパニーときかたち Dance Company “TOKIKATACHI”

招聘期間
2018年2月5日(月)〜3月25日(日) ※予定

プロフィール写真 ときかたち アーツ前橋AIR
Photo by Mizuki Sato

■プロフィール
ダンスカンパニーときかたち
尾花藍子主宰のダンスプロジェクト。2015年より発足。メンバーである群馬県高崎市出身の安藤暁子らと共に、東京都墨田区のシェアハウス&スタジオ〈LAB83〉を拠点に活動を展開。http://tokikatachi.com

尾花藍子
ダンスカンパニー〈ときかたち〉主宰。 シェアハウス&スタジオ〈LAB83〉代表。美大絵画学科卒業後、身体を使った行為表現を路上で始める。美術・プロジェクト作品発表を経て、近年は主に振付家・演出家として活動。「環境に振け付られる身体」を軸に、文化的背景を内包した様々な「場」で作品を創作。各々の表現媒体の特徴を活かし、表現や思考の可能性を広げる活動を展開。若手演出家コンクール2014ノミネート。横浜ダンスコレクション2016コンペティションファイナリスト。http://apiece7.blogspot.com


『線を重ねて水が輝くなら』アーツ前橋AIR
ダンスカンパニーときかたち単独公演
ダンス作品 《線を重ねて水が輝くなら》2016年 STスポット横浜/神奈川 Photo by bozzo

『風と朝と夜。』アーツ前橋AIR
アサヒ・アート・フェスティバル コザクロッシング2013参加  滞在制作 沖縄黒人街ツアー型作品
プロジェクト作品 《風と朝と夜。》2013年 コザ銀天街、照屋公演、黒人街廃墟/沖縄
Photo by Toyozato Tomoyuki

 

■  審査員からの講評

岡部あおみ(美術評論家/パリ日本文化会館展示部門アーティスティックディレクター)
今年ヴェネチア・ビエンナーレの金獅子賞はドイツ館の強烈なパフォーマンス、アテネ市内で開催されたドクメンタも、コンサートやパフォーミング・アーツに力を入れていた。今回、アーツ前橋のレジデンス応募者も演劇やコンテンポラリー・ダンス分野のクリエーターがいた。前回より応募数は少ないものの、みな魅力にあふれたプロジェクトを提出し、実力を感じさせる候補者ばかりだ。惜しくも落選した方々は、ぜひまたトライしてほしい。
実際に作品に出会える現代アート展が国内外で盛んになってきた要因も、今日横溢するデジタルなイメージのただ中で、私たちがいかにリアルな感動を求めているかを痛感させる。さらに1960‐70年代への再考が開始しているのは、日常、社会、芸術を抱合する総合的でかつ新たな創造のあり方への模索であろう。そうした方向性を秘めた衣真一郎氏と尾花藍子氏の前橋での充実した活動と飛躍に期待している。

 

白川昌生(アーティスト)
今回は20−30歳代の作家がほとんどで9人が応募して来た。作品のレベルはかなり高くなり、選択することが難しかった。レジデンスできることのメリットなどをこちらで、仮定して作家を選ぶことにしたので、作品そのものの良悪しではない、前橋での滞在制作を一つの軸にして選択をした。演劇、ダンスなどの応募があったのも前橋の滞在制作の可能性を広げるのではという議論も起こった。これまでのように絵画、彫刻、インスタレーションなどの作品もあったが、作品の個々のレベルが問題になるというよりは、滞在制作にどうそれが関われるかが選択のポイントになったことを、強調しておいてもいいと思う。
前橋に滞在して制作することで作家、地域にも何かが起こる可能性を作家の中に想定して、選ぶという作業はなかなか大変であったことも言っておきたい。作品レベルがかなり高い水準に上がって来た現状では、選抜が簡単ではなかったし、色々な議論が起きていたからである。
滞在期間の作家からの選択についても、今後はそれを変えてより広く年齢幅のある参加ができるようにしたいという議論もでて、今後の応募の仕組みなどの改変なども議論された。 

 

田中龍也(群馬県立近代美術館 学芸員)
衣真一郎さんについては、これまで何度か作品を目にして注目していましたが、今回の滞在制作が今後地元での活動の足がかりになることを期待します。ダンスカンパニーときかたちについては、ダンスの「新たな公演の形」を模索するという問題意識に興味を持ちました。身体表現を行うグループであるということも、これまでと違う滞在制作の在り方を示してくれる可能性を感じます。
滞在制作とは、もちろんそこで何をするかという目的を明確に持つことも大事ですが、滞在を通して新たな人とのつながりが生まれることがより重要だと思います。それが作家としての活動の幅を広げていくのだと思います。前橋にはきっと多くの出会いが待っています。

 

住友文彦(アーツ前橋 館長)
今年は実は昨年よりも応募数が少なかったので不安があったのですが、ファイルを見てまったくの杞憂と知りました。かなりレベルが高く、選考の意見も分かれ、とても悩ましい選択でした。とくに、それぞれの作家のキャリアにおいて意義がありそうか、滞在制作の仕組みや地域性を活かした提案か、そうしたいくつかの重視する点においても興味深い作家が多かったと思います。
そのなかで、これまでなかった身体表現の分野でしかもグループで活動する展開に期待してダンスカンパニーときかたちが選ばれました。どのように竪町スタジオを使いこなし、新しい作品の制作をおこなうのか、とても楽しみにしています。それと若手支援を明確にするためにはじめて30歳以下のカテゴリーを設置しましたが、衣さんは作品のための取材と生活の場所が近づくことでどんな活動ができるのか期待しています。
今後も、もちろん若手だけでなく、幅広く竪町スタジオを使ってくれる群馬県ゆかりのアーティストのご応募をお待ちしています!

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