アーツ前橋

地域アートプロジェクト

結果発表!令和元年度 群馬県ゆかりのアーティストによる滞在制作事業

 アーツ前橋では、昨年度に引き続き、前橋市で滞在制作を行う、群馬県にゆかりのあるアーティストの募集を行いました。
 7月20日に審査員3名による審議を行った結果、本年度は三枝愛氏に決定いたしました。三枝愛氏は、2020年2月中旬~3月末の期間に前橋市内で滞在制作を行います。各審査員のコメントについては、ページ下部をご覧ください。

■審査概要
応募期間:2019年5月16日(木)~7月10日(水)※当日必着
応募件数:13件
審査員 :木村絵理子(キュレーター/横浜美術館・主任学芸員)
     白川昌生(アーティスト)
     住友文彦(アーツ前橋 館長)

審査結果

三枝 愛 MIEDA Ai 

招聘期間 2020年2月中旬〜3月末 ※予定

顔写真

■プロフィール
2018年東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻修了。「ものを残すための手立て」をテーマに制作を行う。2016年より京都にアトリエを構え、文化財修理の現場に継続的に関わる。
主な展覧会に、「アートプロジェクト高崎2018」(高崎市内各所 / 群馬)、「群馬青年ビエンナーレ2017」(野外展示作品賞受賞 / 群馬県立近代美術館 / 群馬)、「清流の国ぎふ芸術祭 Art Aword IN THE CUBE 2017」(O JUN賞受賞 / 岐阜県美術館 / 岐阜)などがある。また、「KAC Performing Arts Program 2018 / Contemporary Dance 『シティⅠ・Ⅱ・Ⅲ』( 主催:京都芸術センター)」では『シティⅢ』(作: カゲヤマ気象台、第17回AAF戯曲賞大賞受賞作品)に自身の作品と共に出演。

■これまでの作品

②
《庭のほつれ2017年 苗木、おがくず、椎茸用封蝋、ダンボール サイズ可変 撮影:吉原かおり
群馬青年ビエンナーレ2017  / 群馬県立近代美術館 / 群馬 / 2017

⑤
《ものの来歴とゆくえについて/庭のほつれ》 2018年 原木、おがくず、椎茸用封蝋、樹皮で染めた布、織物、拓本、額縁、石、作文用紙に鉛筆、赤ペン、茣蓙、座布団、その他 9100×18200×9000 mm 撮影:木暮伸也
アートプロジェクト高崎 / 高崎シティギャラリー・路上 / 群馬 / 2018 

⑥
《ものの来歴とゆくえについて/庭のほつれ》部分 2018 石、作文用紙に鉛筆、赤ペン 210×297×30 mm 撮影:木暮伸也
アートプロジェクト高崎 / 高崎シティギャラリー・路上 / 群馬 / 2018

 

■  審査員からの講評

木村絵理子(キュレーター/横浜美術館・主任学芸員)

 本事業の審査に参加したのは初めてでしたが、応募作家のレベルは高く、いずれも前橋に滞在することが具体的にイメージできる申請内容が多かったと思います。しかし優れた作品は一朝一夕に生まれるものではなく、短い滞在期間の中で無理に完成に持っていく必要はないものです。審査の最終段階で重視されたのはまさにこの点で、想定される作品の完成度の高さ以上に、作家として新たな表現を獲得しようとする意欲と、展開の可能性を感じさせるのは誰かということが三枝さんを選ぶ最大の決め手となりました。
 ある土地に根ざして作品を制作するということは、その土地の固有性を殊更に表明することではありません。むしろ固有と思えるもの、あるいは個人的な体験に基づく事柄が、いかにして普遍性を獲得できるのかを発見することが、他者との共有に繋がっていくものと思います。三枝さんをはじめ、今回新たにスタジオ利用という形で参加する可能性のある作家たちにとって、本プログラムが発見と共有の機会となることを願っています。

 

白川昌生(アーティスト)

  今回は応募者が前回よりも少なくなっていた。それでも作品のレベルがすでに高いものもあり、どういうところで選んでいくか、、前橋に滞在してどういうことができるのか、何か作家にとって滞在が制作にプラスになるのか、、、などなど、考えながら選ぶことになった。
 今回共同制作のようなプレゼンのものがあったが、作品などをみるとその辺りが不明確で、少し期待したのだが、残念なものがあった。美術系以外の応募が初期の頃よりもずっと減ってしまっているのが、個人的には残念。様々な表現の人に応募に出してきて欲しいと思っている。

 

住友文彦(アーツ前橋 館長)

 毎年応募数の増減はあっても、確実に選考は難しくなっているように感じます。今年はとくに海外との交換事業がはじまったため、ひとりしか選べないという事情もあり、実績重視なのか、若手への機会提供なのか議論になり、後者を選びました。ただ過去の応募者で優れた作家も少なくないので、その都度丁寧にこれまでの成果を振り返りながら、選考委員と検討していきたいと思います。
 基本的に群馬にゆかりのある作家を支援する目的は変わらないので、もし滞在しなくても制作するスタジオの提供だけでもよい作家を支援できる可能性も検討することになりました。今後、スケジュールや場所の調整次第で実現できるようにしたいと考えています。

 

 

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