第6回まちほけチャンネル 開催報告!


不登校やひきこもりを支援するフリースペース「アリスの広場」の代表、佐藤真人、LGBTの支援団体「ハレルワ」の代表、間々田久渚、そして、気持ちよさを追い求める美術家の滝沢達史の3名がホストになり、その時々の気になるテーマでお送りしているオンラインプログラム「まちほけチャンネル」。
今回は、長野県に初のコワーキングスペースを開設し、「はたらく」を「クリエイトする」会社、株式会社はたらクリエイトの代表を務める井上拓磨さんにお越しいただき、社会に合わせるのではなく、個人のライフスタイルに合わせた働き方を作り出す秘訣についてお聞きしました。

はたらくってどういうこと?

井上さんの「はたらく」の原体験は、井上さんのお母さんの仕事に対する考え方や姿勢だったといいます。自分の仕事を天職だと感じ、その仕事を通して誰かのためになっていることに生きがいを感じていたお母さん。井上さんが代表を務めるはたらクリエイトも、「はたらく」を中心に、居場所、コミュニティ、環境、生きがい、そして社会をつくる会社です。

 

ひきこもりにとって働きやすい職場とは?

今回は、人間関係に悩みを持っていたり、なかなか自分に自信を持てなかったりする人たちにとって、働きやすい場所とはどんなところなのか、就労支援も行っているアリスの広場の佐藤さんが、ひきこもりの人にとっての仕事探しのポイントや課題をまずお話ししました。キーワードは、①発注者のひきこもりに対する理解、②ドタキャンOK、③プレッシャーにならない単発のお仕事。本人が来なかった場合はスタッフが補填しなくてはならないなど、なかなか調整が難しそうです。

 

ボーダーはどこに引いてもいい

その話を受け、ひきこもりの人を既存の働き方や枠組みに戻すことを就労の目的にせず、ひきこもりやLGBTQとしての強みを打ち出す枠組みを作ることができれば、外部であっても理解ある人たちから業務をもらえるのではないかと、早速井上さん。

はたらクリエイトでも、今では130名の従業員の方(約96%が女性)が働く会社となりましたが、始まった当初は「地方の子育て中の女性の働く場」を前面に打ち出して受注を行っていたそうです。しかし、その仕事で培えるスキルや賃金単価がなかなか上がらず、一緒に働く人たちのスキルアップに合わせて「地方の女性の働く場」など、言い方を変化させていき、その後も属性の強みを生かせる場合には「子育て」を付けたりと、柔軟に打ち出し方を変えているそうです。どう自分たちを差別化して(ボーダーをひいて)見せていく、表現していくか。人にボーダーをひかれるのではなく、自分たちでボーダーを引くことが大切であり、それを時と場合によってかえていくことができるというのは、アリスの広場とハレルワという2団体が一緒にやっていく強みのように感じました。

今回もまちのほけんしつより生配信(撮影:I

安心できる職場づくりのために

また、いろんな背景や状況の中にいる人たちが一緒に働き、安心できる職場をつくるために、はたらクリエイトでは、声を出しやすい環境を作っているそうです。

一緒に働く人同士で、相手に対して不満を持ってしまうのは、平均的な社会人像を相手に抱いているからと井上さん。自分と同じように相手にも得意不得意があり、一人の人間の中にも季節や家族の状態によって一定じゃないことを伝え合い、お互いに知る機会を積極的に作っているそうです。また、日々出てくる希望やアイディアを積極的に出せる場も作り、自分を表現しあう、受け取りあうことを大切にしているそうです。

そう話す井上さんも、誰かと話をする中でアイデアをひらめき、今までにない機能を社会の中に作っていくことは得意で、それが社会にアウトプットできること=自分の表現であると感じている一方、コミュニティやシステムをはぐくみ、最適化していくことは得意ではないのだそう。今事業が上手く回っているのは、法人設立当初から一緒に会社を作り上げてきた高木さんをはじめ仲間のみんなで補ってきたからとのこと。

 

川の流れに身を任せて

井上さんの自己紹介のパワーポイントより。

次々に会社を立ち上げ、代表を務める井上さんですが、一人で大きな決断をしてきたというより、出会う人の流れに乗って、ここまでやってきたと感じているそうです。一緒に働く仲間に向き合い、その都度出てくる課題に対応して作り上げてきたシステム。それは井上さんと井上さんの周りの方の社会との関わる姿そのもののようです。

井上さんのお話の中で何度か出てきた「表現」という言葉。そこからは、自分の個人的な事情や個性を押し殺して業務を遂行しなくてはならないという社会人像ではなく、自分らしく社会と係わることが、川が流れるように無理なく働くにつながるイメージを持ちました。

井上さん、お忙しいところお越しいただきましてありがとうございました。是非、またまちほけに遊びに来てください!

撮影:H

(写真:堀口実香(H)、今井朋(I) 文:天羽絵莉子)

 

第6回まちほけチャンネル:https://www.youtube.com/watch?v=CicvubKR-SY&t=1935s

 

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