アーティスト・イン・スクール (11) 2018.10.10~10.31


昨年度に引き続き、今年度も前橋市立桃川小学校でのアーティスト・イン・スクール、略してAISが始まった。春休み頃から今年度のお話を進めては来たけれど、学校の都合もあり、半年がすぎた10月からのスタートになった。日程が決まったのはたしか6月頃で、その時はけっこう先の話だと思っていたけれど、いつの間にかもう11月になっている。大人にとってはあっという間に感じるけれど、子どもたちはその間に僕のことなんて忘れてしまっているんじゃないかと心配もあった。実際に記憶にうすい子もいたけれど、なんとか覚えていてくれて、特に南橘公民館でのワークショップに参加してくれた子たちは「またやってほしい。」「次のワークショップはいつ?」と声をかけてくれた。

昨年からT2=補助教員的な立ち位置でのAISが始まり、それがアーティストとしての役割として正しい振る舞いなのかどうか、少なからぬ葛藤を抱えながら活動が進んだ。その葛藤は今でも持ち続けていて、周りからもその点に関する疑問の声も、聞こえてくる。その疑問を引き受けつつも、学校の外でワークショップを行ったことによって、子どもたちからワークショップの要望を直接受ける関係性は特筆すべきことなのではないか。

一方では、要望があってもなくてもワークショップや、何かを一緒につくったり起こしたりするプロジェクトを何かやりたい、というアーティストらしく見える発想は疑問の余地がないことなんだろうか?AISでのT2的な立ち位置に疑問があるからこそ、そうではない姿を見せたいという反発心もあるかもしれないが、それはただ、”アートプロジェクトっぽく見えることがしたい”という歪みなのかもしれないとも思うようになった。

そんな課題を抱きながら、今年も日記的な記録を残すことにした。短くても毎日書くことを癖にしながら、今年も桃川小に通い、南橘団地と桃川小学校を行き来することで、アーティストとして、何ができるかを考えていきたいと思う。

20181010|AIS44日目

日時   20181010[] 10:00~12:00
場所   桃川小学校校長室、52組教室
参加者  今井、梶原、中島

アーティスト・イン・スクール(AIS)の44日目!

昨年度に続き、今年度も継続された桃川小学校でのAIS初日。今年度の初日ではあるけれど、日数カウントは昨年度からの続きで44日目とした。特に意味はないけれど。

初日ということで、校長室にお邪魔し、担当の先生方とお話をしてから教室へ向かう。アーツ前橋の今井さんは今日の予定を忘れていた。さすがゆるくてよい。

昨年度は図工専科の先生がいたので、図工室を使用していたけれど、今年はクラス数の問題で専科がおけず、各担任の先生が図工をやることになったとのこと。しかし、5年生は1人の先生が図工を3クラス分担当している。こういう交換はよくあることらしい。なので今年度は5年生3クラスと、また別に担任の先生が手を上げてくれた43組を回ることになった。今日は52組の授業。

今までは図工室しか行ったことがなかったので、桃川小学校の教室に入るのは初めてだった。広さも雰囲気も全然違って新鮮だった。しかしやはり絵を描くには机が狭いようで、子どもたちは続々と床で描き始めた。昨年度と同様に、宮沢賢治著『銀河鉄道の夜』を題材にした物語絵で、市のコンクールに応募するための絵を描く会だ。記録によると昨年度の初日は106日なので、ちょうど1年くらい前に初めて図工の授業にやってきた。その時も絵を描く会の課題は始まっていて、「構想段階から来ていただければ!」と、言われた記憶がある。まさに同じようなリズムで、下書きがすでに描き進められていて、早い子はすでに色塗りに入っていた。昨年の5年生よりはだいぶ早いかもしれない。

そんなこんなで、今年も桃川小学校でのAISが始まった。3月ぶりに会う子どもたちも多く、単純に子どもたちが身体的に成長していて、まるで親戚のおじさんのように「大きくなったなあ。」とつぶやいてしまいそうになる。

20181012|AIS45日目

日時   20181012[] 10:45~15:25
場所   桃川小学校51組、43組、53
参加者  梶原、中島

アーティスト・イン・スクールの45日目!3,4時間目が51組、5,6時間目が43組。53組は元々月曜日の予定が、祝日のため変更になり、43組とバッティングした。昨年までは図工担当の先生1人に付いていたため、バッティングはなかったが、今年は2人の先生が受け入れをしてくださったため、バッティングすることがありうるようだ。

51組には南橘団地でのワークショップにほぼ必ず来てくれる子がいて、次のワークショップはいつか聞かれるが、1027[]に予定してたんだけど、結局何の準備も進められておらず、もう間に合わなそうだと伝える。帰り際まで「なんとか準備してね」と言われて、こうやって求めてくれる人がいることはうれしい。

今年は桃川小学校で初めて給食をいただくことになった。今日は51組の授業終了後にそのまま1組で食べた。前橋市の学校給食を食べるのは、小学校を卒業して以来なので、20年ぶりだ。一緒に食べた班には、中学校時代の同級生の子どもがいる、というのはまだ本人には言っていない。昼休みはそのまま1組の子たちと校庭でドッヂボールをしたり、担任の先生ともお話しすることができた。

43組は担任の先生が受け入れをしてくださり、4年生で唯一図工に通うことになったクラスだ。昨年と同様に大きな木の絵を書いている。こちらもだいぶ下書きが進んでいて、どうも去年の進み方が遅かったことを知る。51組に関しては、もう完成した子がいる。まだまだできることはあると思うけれども。

ペースはさておき、毎度のことだけれども「〇〇の描き方を教えてください。」とよく聞かれる。今日は「リスの描き方」を聞かれた。「描き方がない」ことの自由感と楽しさを伝えたいけれど、なかなか難しく、リスの描き方があるものなら僕も知りたい。

20181016|AIS46日目

日時   20181016[] 10:25~12:1014:20~15:05
場所   桃川小学校52組、53組、43
参加者  中島

アーティスト・イン・スクールの46日目!3,4時間目が52組、3組の授業が同時進行、6時間目が43組。
今日は3時間目からの登校だった。先週金曜日の3時間目が10:45からだったので、10:40についたらすでに始まっていた。昨年度は水曜日だけ時間割が違ったので今年もそうだと思っていたけれど、変わっていた。ということで遅刻しました。僕には子どもがいないので、小学校って外から見ているだけだとあまり昔から変わっていないように思うけど、けっこう目まぐるしく変わっている。よくよく考えたら、僕のような外の人間を、アーティスト・イン・スクールとして受け入れることだって、きっと、20年も前の僕が小学生の頃だったら考えられないことだったんじゃないか。そもそもその頃の前橋には、アーティストを学校に送り込もうと考える人もいなかったかもしれない。学校も例外なく、社会は変わっているのだ。

社会の変化を語るには少し大げさなので、学校の話に戻ると、今日は時間割の変更が大きく、2クラスの図工が同時に行われた。(下書きが終わって多くの子どもたちが色ぬりをしているので、この感じだと3クラス合同でもできそうな気がする。関われる時間は薄くなるけど。)今日は給食を52組でいただき、2組と3組と一緒にドッヂボールをした。僕が小5の頃は男子だけでサッカーをしていた。女子といっしょに昼休みを過ごすことは稀だったかもしれない。社会は変わったのだ。

20181019|AIS47日目

日時   20181019[] 10:45~12:10
場所   桃川小学校51
参加者  今井、山田、中島

アーティスト・イン・スクールの47日目!

描きたくないものは描かない方がいい。描きたくないならいっそ描かない方が、気楽に課題に取り組めるのではないか。『銀河鉄道の夜』を課題にしているからと言って、無理して線路を描かなくてもいいと思うし、電車も(それも地球上の)細かい部品などは描くのが大変だと思う。という話を、描けなくて悩んでいる?子どもと話しているうちに、何人か描き終わって台紙の準備などを始めていた。

20181022|AIS48日目

日時   20181022[] 10:25~12:00
場所   桃川小学校図工室(53組)
参加者  狩野、梶原、中島

アーティスト・イン・スクールの48日目!

教室ではなく、図工室に変更になった。久々の図工室には、ピアノが置かれていた。今年から教室での図工だったので、授業が始まる時間ぴったりに着くように調整していたけど、図工室だと先に入って待っていられるので気が楽だった。

さて課題は前述の通り「銀河鉄道の夜」。ほとんどの児童がSL的な鉄道、線路、宇宙、星座を描いている中で、波打ち際で水から水晶のようなきらめきをすくう絵を描いている男子がいる。全クラスの中で、鉄道が出てこないのは彼だけだったので、どんな絵になるのかをとても楽しみにしているのだけど、今日は水の中に入った手をどのように表現するのかで悩んでいた。悩んでいるというよりももはや、思考停止になっていたかもしれない。それも無理はなく、水の表現はとても難しい。僕も一緒に悩んだ末に、図工室にあったバットに水を入れ、実際に水に入れた手を2人で観察してみることにした。水中と水上の手では、それぞれ肌の色が違って見えることや、指先とひじ付近では地面に落ちる影に違いがあることなどを発見した。しかしその発見を、どのように絵の具で表現できるのか、ということに課題が残った。意外とまじめにやっているのだ。

今日も給食を頂く。群馬県の郷土料理『呉汁』だと放送で紹介があった。はじめて聞いた。

20181023|AIS49日目

日時   20181023[] 10:25~12:00
場所   桃川小学校図工室(52組)、43組教室
参加者  中島

アーティスト・イン・スクールの49日目!今日も5年生(2組)の図工は教室ではなく図工室で。43組は授業変更で5年生とバッティング。4年生の担任の先生から進め方についてご相談をいただき、授業の冒頭でお話をすることになっていたため、先に4年生の教室へ向かった。透明水彩らしさとか透明水彩の醍醐味」みたいなことを伝えたかったのだけど、伝わったかは不安だ。そもそも頭で分かっていたとしても、何枚か描いてみないと実感できないことな気もする。そもそもそもそも、図工の授業を少しでも楽しく、少しでもじょうずになってもらいたいとはもちろんこちらは思うけれども、子どもたちはじょうずになりたいと思っているんだろうか?水彩画を作品として制作している訳ではないアーティストなので、そもそもそもそもそもそも、じょうずな絵ってなにかよく分からない気もする。

20181026|AIS50日目

日時   20181026[] 10:45~12:20
場所   桃川小学校図工室(51組)
参加者  中島

アーティスト・イン・スクールの50日目!

少し早く着いたので、まだみんな教室にいた。教室は図工をするには少し狭いけど、担任の先生にも挨拶ができるし、子どもたちの普段の生活に近い感じがしてよい。教室から出てきたWS常連の女の子が、「行くよ!」と誘ってくれたので、図工室まで一緒に向かう。先生でも保護者でもない大人が学校の中にいる状況は、職員の皆さんからしたら違和感もやりにくさもあることかと思うけど、じょうずな絵の指導役というよりも、こういう関わり方の方が僕らしい。

20181029|AIS51日目

日時   20181029[] 8:30~12:00
場所   43組教室、桃川小学校図工室(53組)
参加者  中島

アーティスト・イン・スクールの51日目!

久々の1時間目で、遅刻が心配されていたけれど、なんとか間に合った。いや、そんなにギリギリに駆け込んだわけではないはずだったけど、先生に「セーフ!」と言われたので笑。月曜日の朝なので、子どもたちはちょっぴりマンデーブルーなのか、まだエンジンがかかっていなかった様子。

3,4時間目は前回マジメに取り組んだ、水の中に入っている手の表現。なかなか苦戦。子ども本人は、今日中(それも3,4時間目のうちの3時間目のうち)に仕上がらないことに不安と焦りを感じてしまっているようで、あまり気持ちが入らなかったようだった。なんとか完成はしたけれど、楽しみながら色々な表現方法を見つけてほしかった。

20181030|AIS52日目

日時   20181030[] 10:25~11:10
場所   桃川小学校図工室(53組)
参加者  中島

アーティスト・イン・スクールの52日目!

今日は一コマだけ。ほとんど仕上げだったため、関わりシロがあまりなかった。一方で、今日から塗り始めるという子もいたり。学齢でペースを合わせるのは大変だ。

20181031|AIS53日目

日時   20181031[] 13:50~15:25
場所   43組教室
参加者  中島

アーティスト・イン・スクールの53日目!

43組はとても順調。質問してくれる人も、人懐っこい子だけじゃなくなってきた感じ。去年を思い出してくれたのかしら。

けっこう授業の日程が目まぐるしく変わり、予定通りに来られたり来られなかったりが続いた。来週もさっそく授業の変更があったり、僕の予定も変わっていたりで結局行けないことになり、次に来るのは12月になりそうだ。その間は札幌にいて、こちらでもアーティスト・イン・スクールです。札幌では、図工の時間とは関わらず、空き教室に滞在して、制作したりしなかったりをする予定。

 

(執筆=中島佑太、編集・投稿=中島佑太)

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