【表現の森展】関連シンポジウム開催


アーツ前橋は、開館以来アートの持つ創造力を通じて地域と繋がることを目指してきました。「表現の森 協働としてのアート」は、これまでの地域アートプロジェクトの活動の延長として、福祉、医療、教育のような異なる分野の人々とアーティストが様々な活動を通じて対話を行います。この企画展を通して、前橋市内の施設/団体と連携するプログラムを5 つ始動させました。これらのプロジェクトは、今後アーツ前橋が3 ~ 4 年をかけて継続的に行っていく予定です。
作品を展示する場所としての役割のみならず、美術館が地域の中にその活動を広げることにより、現代社会における新たなアートの役割を見出すことができるでしょうか。
本シンポジウムでは、現在進行形でアーツ前橋が活動を行う5 つのプロジェクトの紹介から、第三者としての専門家の意見を踏まえ、それぞれの現場で生まれる課題や疑問を考えられる機会となればと思います。

日程:2016年8月27日(土)、28日(日)

会場:アーツ前橋地下ギャラリー

参加費:無料(要展覧会観覧券)

定員:50 名(先着)

お申込み
事前申込制、電話又はFAX にて受付けます。
それぞれ前日までに、参加希望日、参加者氏名、日中連絡のつく電話番号をお知らせください。
先着順とし、定員に達した場合は締め切りとさせて頂きます。
*手話通訳等が必要な方は8 月10 日(水)までにお問い合わせください。

アーツ前橋
電話:027-230-1144
ファックス:027-232-2016

プログラム
1日目 2016 年8月27日(土)13:00 ~ 18:00

13:00-13:15 挨拶 茂木一司(群馬大学教授)

13:15-14:15 トークセッション① 「高齢者施設におけるアートの実践」
スピーカー:石坂亥士(神楽太鼓奏者)、山賀ざくろ(ダンサー)、岡安賢一(映像制作)× 木村祐子(社会福祉法人 清水の会)
ゲスト:林容子(一般社団法人 アーツアライブ 代表理事)
モデレータ:石原孝二(東京大学大学院総合文化研究科准教授)
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14:30-15:30 トークセッション② 「あかつきの村から考える共同体」
スピーカー:高山明(演出家/ Po r t B)、林立騎(Po r t 観光リサーチセンター)、田中沙季(リサーチャー)× 櫻井洋樹(社会福祉法人 フランシスコの町 あかつきの村 精神保健福祉士)
ゲスト: 猪股剛(臨床心理士)
モデレータ:石原孝二
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15:45-16:45 「当事者研究とオープンダイアローグ:語り/ 表現の協働とネットワーキング」石原孝二

17:00-18:00 パネルディスカッション
スピーカー:林容子、猪股剛、石原孝二
モデレータ:住友文彦(アーツ前橋館長)

2日目 2016 年8月28日(日)11:00~17:00

11:00 – 11:15 挨拶 住友文彦(アーツ前橋館長)

11:15 -12:15 対談「くねくねアート道 ~ 生活とクリエイティビティのあいだ~ 」
スピーカー:岡部太郎(一般財団法人 たんぽぽの家 常務理事)× 上田假奈代(NPO法人 こえとことばとこころの部屋 代表)
モデレータ:石原孝二(東京大学大学院総合文化研究科准教授)、住友文彦
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12:15-13:30 【休 憩】

13:30-14:30 トークセッション③ 「社会における場づくりとアートの可能性」
スピーカー:滝沢達史(アーティスト) × 佐藤真人(NPO 法人 ぐんま若者応援ネット アリスの広場 施設長)、関根沙耶花(サヤカ・クリニック院長)
ゲスト:小山田徹(京都市立芸術大学教授)
モデレータ:茂木一司(群馬大学教授)
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トークセッション④ 「表現の先に見る社会」
スピーカー:中島佑太(アーティスト)× 朝比奈千鶴(認定NPO 法人 日本紛争予防センター/ J CCP ケニア事業担当)
ゲスト:森玲奈(帝京大学高等教育開発センター講師)
モデレータ:住友文彦
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14:45-15:45 トークセッション⑤ 「マイノリティとは誰か?美術館の抱える希望と課題」
スピーカー:廣瀬智央(アーティスト)、後藤朋美(アーティスト)× 町田和行(社会福祉法人 上毛愛隣社 のぞみの家 少年指導員)
ゲスト:黒沢伸(金沢湯涌創作の森 所長) *廣瀬智央はスカイプにて参加予定
モデレータ:石原孝二
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16:00-17:00 パネルディスカッション
スピーカー:岡部太郎、上田假奈代、森玲奈、小山田徹、黒沢伸
モデレータ:石原孝二

プロフィール(出演順)

石原 孝二(いしはら こうじ):モデレータ
1967 年群馬県太田市生まれ。東京大学准教授(大学院総合文化研究科)。当事者研究、精神医学の哲学、障害の哲学などを研究している。(共) 編著に『共生のための障害の哲学』(東京大学UTCP 上廣共生哲学寄付研究部門)、『当事者研究の研究』(医学書院)、『精神医学の科学と哲学』(東京大学出版会)などがある。

石坂 亥士(いしざか がいし)
1971年群馬県桐生市生まれ。神楽太鼓奏者(打楽器奏者)として神社や寺院といった日本古来の場所での演奏を数多く行い、同時に桐生市の神楽師として太々神楽広沢連中に在籍し、伝統の中に流れる音の世界観を吸収し、神楽太鼓、和太鼓、銅鑼などを使用し、独自の音世界を表現している。

山賀 ざくろ(やまが ざくろ)
ダンサー・振付家・演出家。1959年前橋市生まれ。一歩一歩を確実に、マイペースな長距離ダンサー。そのいい具合に力の抜けたダンスは、老若男女、世代を問わず魅了する。近年は「伊香保アバンギャルズ」をプロデュースし、ダンスや演劇などの個性的な女性アーティストが出演する公演の企画なども行なっている。

岡安 賢一(おかやす けんいち)
群馬県中之条町生まれ、在住。日本映画学校(現・日本映画大学)映像ジャーナルゼミ卒。吾妻を中心にイベントと観光関連の映像を制作。中之条町で開催されている「伊参スタジオ映画祭」副実行委員長をつとめ、近年には日本映画大学協力のもと「六合(くに)ドキュメンタリー映画祭」を主催した。

木村 祐子(きむら ゆうこ)
前橋市地域包括支援センター永明勤務、NPO 法人まえばしプロジェクトメンバー。信州大学医学部保健学科卒業、群馬大学大学院教育学研究科修了。周産期医療や重症心身障害児施設の看護師勤務を経て、看護理論を元に美術教育学を学ぶ。現在は高齢者の在宅支援として保健師勤務。

林 容子(はやし ようこ)
一般社団法人アーツアライブ代表理事、尚美学園大学大学院芸術情報学部准教授。1999 年より認知症を含む高齢者、障害を持つ子どもや大人の為のアート創作ワークショップや対話型アート鑑賞プログラムを複数の美術館や施設で定期的に実施し、普及を目指し鑑賞ファシリテーター養成講座も開講している。

高山 明(たかやま あきら)
1969 年生まれ。Port B 主宰。観客論を軸に据え、現実の都市や社会に「演劇=客席」を拡張していく手法により、演劇のアーキテクチャを更新し、社会の中に新たなプラットフォームを作ることを試みている。様々なメディアとのコラボレーションを通じて、演劇的発想・思考の開拓に取り組んでいる。東京藝術大学大学院映像研究科准教授。

林 立騎(はやし たつき)
翻訳者、演劇研究者。一般社団法人Port 観光リサーチセンター所長。東京藝術大学特任講師(geidaiRAM)、京都造形芸術大学非常勤講師。NPO 法人芸術公社 ディレクター・コレクティブ、港区文化芸術サポート事業評価員。訳書にイェリネク『光のない。』( 第5 回小田島雄志翻訳戯曲賞)、共編著に『Die Evakuierung des Theaters』。

田中 沙季(たなか さき)
舞台制作会社CSB 勤務後、2009 年よりPort B によるプロジェクトに、制作・インタビュアー・リサーチャーとして参加。芸術作品と現実の都市や社会のあいだのリサーチを軸に活動。一般社団法人 Port 観光リサーチセンター研究員。一般社団法人日本パフォーマンス/ アート研究所メンバー。

櫻井 洋樹(さくらい ひろき)
1981 年、東京都生まれ。2006 年群馬県に移住。2007 年精神保健福祉士資格取得。同年、社会福祉法人フランシスコの町あかつきの村に入職。障害者グループホーム等での勤務を通じて、ベトナム難民精神障害者の支援に従事。

猪股 剛(いのまた つよし)
1969 年生まれ。病院や学校においてユング派精神分析家として活動する。2005 年からPort B 作品にプロジェクト・アドバイザーとして携わる。臨床・教育・民俗・アートといった多層的なリアリティが展開する場で、心というメディアを中心に据えて活動を続ける。著書に『心理学の時間』(日本評論社)等がある。現在、帝塚山学院大学准教授。

岡部 太郎(おかべ たろう)
1979 年前橋市生まれ。一般財団法人たんぽぽの家常務理事。奈良を拠点に障害のある人とコミュニティをつなげるプロジェクトを担当。最近は表現と存在の曖昧さを探る「存在と生活のアート」、福祉施設を使い倒すイベント「24 時間こたつラヂヲ」など、社会の価値転換をはかる実験的な取り組みをしている。

上田 假奈代(うえだ かなよ)
1969年生まれ。詩人・詩業家。2003年ココルームをたちあげ社会と表現の関わりをさぐる。12年から「釡ヶ崎芸術大学」というプロジェクトを始め、「ヨコハマトリエンナーレ2014」にも参加。NPO 法人こえとことばとこころの部屋代表。2013 年朝日新聞関西スクエア大賞受賞。2014年度文化庁芸術選奨文部科学大臣新人賞。

滝沢 達史(たきざわ たつし)
多摩美術大学油画専攻卒業。東京都特別支援学校にて知的障害児への美術教育に携わり、のちに退職。以後、越後妻有トリエンナーレなど国内の芸術祭にて、土地との関わりを着想に表現を行っている。また、近年では子どもの主体性に任せた学校作りなど、試験的な教育活動にも取り組んでいる。

佐藤 真人(さとう まこと)
1982年生まれ。中学1 年の6 月から不登校となり、以後6 年間不登校・ひきこもりとなる。その時、バクの会とパスの会、2 つのフリースペースのお世話になる。17 歳で大検予備校(現高卒認定試験)に通い始め、20 歳で埼玉工業大学に入学、その後、明治大学大学院へ進学。卒業後も紆余曲折を経て2014年にアリスの広場を前橋市に開く。

関根 沙耶花(せきね さやか)
1978 年前橋市生まれ。医学博士。ぐんまHHC代表、医師 、サヤカ・クリニック院長。10 年間総合診療医として勤務を続ける中で、現代医療に限界を覚える。 2014年「 サヤカ・クリニック」を開業。今春「真の健康づくり」を学ぶための学校「ぐんまHHC(Holistic Health College)」を設立。総合診療医として、身体、心、魂の全人的ケアに力を注いでいる。

小山田 徹(こやまだ とおる)
1961 年鹿児島県生まれ。京都市立芸術大学日本画科卒業。98年までパフォーマンスグループ「ダムタイプ」で舞台美術と舞台監督を担当。平行して「風景収集狂舎」の名で様々なコミュニティ、共有空間の開発を行ない現在に至る。現在、京都市立芸術大学美術学部教授。大震災以降の女川での活動を元に出来た『対話工房』のメンバーでもある。

中島 佑太(なかじま ゆうた)
1985年前橋市生まれ。2008年東京藝術大学美術学部卒業。幼少期を南橘団地で過ごし、ワークショップを手法に活動。2012年より、清心幼稚園(前橋)で子どもたちとアートの視点を活かして遊んだり蹴られたりする活動をしながら、国内外でワークショップを展開する。子どもを通して見る社会課題や、アーティストの社会的役割の拡張に関心を持つ。

朝比奈 千鶴(あさひな ちづる)
米ブリガム・ヤング大学卒業後、米ジョージ・ワシントン大学教育人間開発学修士課程を修了。在学中、南アフリカ共和国とスリランカにて紛争後の社会科教師の教授法や、若者の平和に対する考え方に関するリサーチを行った。現在、日本紛争予防センター(JCCP)でケニア事業担当として、紛争予防プロジェクトに従事している。

森 玲奈(もり れいな)
帝京大学高等教育開発センター講師。博士(学際情報学)。学び続ける人とそれを包み込む社会に関心を持ち、ワーク
ショップ・カフェイベント・プロジェクト型学習の研究を中心に、生涯学習に関する研究と実践を続けている。主な著作に『ワークショップデザイン論 ― 創ることで学ぶ ― 』(慶應義塾大学出版会)などがある。

廣瀬 智央(ひろせ さとし)
1963 年東京都生まれ。現在ミラノを拠点に活動。異文化の体験を推敲し多様な素材を用いて視覚化した、浮遊感を伴う作品を制作。境界を越えて異質な文化や事物を結びつける脱領域的な想像力が創造の原理となり、日常の体験や事物をもとに、世界の知覚を刷新する表現を創りだす。世界各地で展覧会多数。

後藤 朋美(ごとう ともみ)
1976 年前橋市生まれ。ジャンルを超えて様々な表現方法を用い、屋内外で作品を発表。近年は生命の根源的な輝きを主題とした作品を発表しており、日常のささやかな喜びや発見に出会うワークショップも行っている。2014 年よりThe Waters Project をスタートし各地の海と空を訪れている。

町田 和行(まちだ かずゆき)
1957年生まれ。1997年より母子支援施設で少年指導員として勤務。児童の学習や生活全般の支援をしている。どうすれば、その子が笑顔になれるのかを考えつつ日々活動している。趣味は登山、スキー。

黒沢 伸(くろさわ しん)
1959年東京都生まれ。水戸芸術館現代美術センター、金沢21世紀美術館のそれぞれ準備段階から学芸員として活動。専門は美術館教育で、アーティスト・イン・レジデンスやコミッションワークの手法を用いたワークショップ等を広く展開。現職は工房・研修施設、金沢湯涌創作の森所長。

表現の森に関連する団体・施設紹介

【前橋市内】

社会福祉法人 清水の会 清水の会 えいめい
2001 年10 月開設。在宅で介護を必要としている高齢者が、日中利用する施設。自宅まで送迎し、健康チェック、リハビリ、日常動作訓練、入浴、食事等のサービスを提供する。季節ごとのイベントのほか、来所者の興味や関心で参加できるクラブ活動や、頭や身体を使ったレクリエーションを実施している。

社会福祉法人 フランシスコの町 あかつきの村
カトリック司祭の石川神父の呼びかけにより1979 年にエマウス運動として始まる。社会の中で生きづらさを感じる人々のシェルターとして機能しながら、生活共同体として発展した。1982 年よりベトナム難民定住センターとして、延べ300名近い難民を受け入れてきた。1999 年に定住センターとしての役割を終え、残された難民の障害者支援、グループホーム、地域活動センターに移管された。

社会福祉法人 上毛愛隣社 のぞみの家(母子生活支援施設)
片原饅頭で知られる宮内文作(1834-1909)が、孤児救済のために設立した上毛愛隣社が運営する施設。1948 年、太平洋戦争で夫を亡くした女性や母子世帯の急増を受け、前橋母子寮(児童福祉施設)として開設。母子が20世帯まで入居でき、母親の就労や育児の相談や支援、子どもへの学習支援等を行っている。

南橘団地
1961 年から、前橋市が主導となり市営団地などが整備された。その際に、隣接していた日輪寺町、荒牧町、青柳町の一部の地域を南橘町として独立した行政区とした。全29 棟のうち、1965 年に建てられた建物も残る。

NPO 法人 ぐんま若者応援ネット アリスの広場
不登校やひきこもりの若者が家から一歩外へ踏み出すことを目的としたフリースペース。2014 年に開所。一人一人の個性を尊重し、それぞれが好きなことをして時間を過ごせる空間づくりをしている。最近では、スペース内での活動のみならず、畑での作業なども導入し、若者の社会復帰を支援している。

【群馬県外】

一般財団法人 たんぽぽの家
奈良市で活動するたんぽぽの家は、障害のある人をはじめとする、市民主体の芸術文化づくりを推進し、2004年からはアートセンターHANAを拠点に、ケアの現場におけるアートの役割の必要性を社会に訴え続けている。また、「ケアする人のケア」という視点で、障害のある人だけではなく家族やスタッフなど、支える人たちの創造性や視点を積極的に取り入れ、そこから生まれる豊かな関係性を提案している。

釡ヶ崎芸術大学(NPO法人 こえとことばとこころの部屋)
詩人の上田假奈代が大阪の西成区(通称・釡ヶ崎)で喫茶店のふりをして始めたココルームでは、「表現と自立と仕事と社会」をテーマに表現を通じて社会に繋がることを目指している。西成区のあいりん地区に住む、身寄りのない高齢化した労働者や地域の住民たちが芸術を通じて交流できる場として2012 年より釡ヶ崎芸術大学を立ち上げた。日雇い労働者、ホームレス、生活保護受給者など経済の優先する現代社会の中で行き場を失った人々が自ら表現することを通じて、再び社会に繋がる釡ヶ崎芸術大学の試みは、全国でも類を見ないものである。

認定NPO法人 日本紛争予防センター/ JCCP
群馬県桐生市出身の瀬谷ルミ子は、ルワンダやシエラレオネの紛争地において、武装解除の専門家として紛争後の旧兵士の社会復帰活動に長年たずさわった後、 2 007 年に認定NPO 法人日本紛争予防センター(JCCP)の事務局長に就任する。Art f or P eace は、JCCP の活動の一部として、ケニアの子どもたちへのアートによる社会復帰活動を行っている。

主催:群馬大学
共催:アーツ前橋
助成:平成28 年度文化庁大学を活用した文化芸術推進事業「美術館等と連携する地域アートプロジェクトを活用するアートマネジメント人材育成プログラムの構築と実施・評価」

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